妖怪天井画
再建にあたって、一番の目玉として取り入れた「妖怪天井画」。
圓流院の天井には、「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親でもある水木しげる先生作による妖怪画が描かれています。その数108枚。
どれもが水木先生の魂がこもった素晴らしい作品ばかりで、ついその世界に引き込まれてしまうよう。
それもそのはず。
この妖怪達は大山の自然の中に存在するからこそ、それぞれが持つパワーを発揮してくれるのではと私たちは考えています。
豊かな自然の神秘にかすみがちですが、ここ大山はかつては神在います山と崇められ、霊峰と讃えられた場所。
そんな大山の歴史の深さを今に伝える圓流院(円流院)ゆえ、妖怪のパワー、すなわち妖気を感じることができるのかもしれません。
案内人 館長 吉島潤承による天井画ガイド
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参拝は寝転んで
参拝の後に板の間に寝転ぶのが圓流院(円流院)ならではの拝観スタイル。大の字になって寝転び、天井に飾られる天井画をじっくり観察。すると・・・。それぞれの妖怪から降り注ぐ“妖気シャワー”があなたに不思議な力を与えてくれるかもしれません。妖怪は神仏(かみほとけ)
水木先生が現した妖怪の中には、「山神」、「木の神」のように自然の中に精霊が宿ったものもいます。また「座敷わらし」のように住み着くとその家が繁栄すると言う妖怪もいます。
妖怪には「怖い」「恐ろしい」と言うイメージがありますが、人間界と同じ場所で暮らし人間のなまけ心、煩悩を戒めてくれる妖怪も多数存在しているのです。このように考えると、妖怪は人間にとってそれぞれが神様であり仏様であることがよくわかります。
108枚の妖怪画が頭上に
天井画は110枚すべてが水木先生の作品で、そのうち「阿弥陀浄土」、「補陀落浄土」をのぞく108枚が妖怪画です。すべて一枚ずつ一辺90cmの杉板に貼られはめ込まれていて、格天井の中央には、再建の為に水木先生が自ら書き下ろされた「大山からす天狗」がはめ込まれています。大山にも妖怪が住んでいる
江戸時代に圓流院の院主をつとめた台貫(だいかん)と言うお坊さんがおられ、雅号を嗒然(とうねん・とうぜん)と言い、数々の書画を残され人々は争ってその作品を秘蔵しました。その嗒然の著書に「大山雑記」があります。
この中には「しろきつね」「天狗」「幽鬼」「くび地蔵」などが出てくる古くから大山寺に伝わる奇怪な話を書きあらわしています。昔から大山にも妖怪が住んでいたということを書き記しているわけです。
一枚だけは圓流院(円流院)のための描き下ろし
実はこの中の一枚だけ、水木先生は、再建された圓流院のために自ら絵筆をとり、描いていただいた作品があります。それが霊峰大山のシンボルともいわれる「からす天狗」。大山の守護神として住んでいた「伯耆坊」(ほうきぼう)と言うからす天狗の話は地元では有名で、このからす天狗は大山の山(自然)を守る神であり、やまの掟をおかす者達にとっては恐ろしい妖怪だったものの、山中で修行する修験者達を導く仏であるともされていました。院に入れば各絵画を解説した冊子も配布
よりそれぞれの絵に興味を持っていただくために、圓流院(円流院)では解説用の冊子も用意しています。どうぞ下の表紙の写真をクリックしてみてください。